最後の言葉/Last Word

ライトノベルの感想・書評を思うがままに

カノジョの妹とキスをした。3

海空りく先生の(不?)純愛ラブコメ

 

三角関係ものに見せかけて3巻連続で妹の時雨が表紙だったので、そういう事なのだが主人公が罪悪感を持ちながら別の女性に落ちていくというドロドロな構図はライトノベルだと珍しい。

 

簡単なあらすじを説明すると父親の再婚によって新しく出来た義理の妹(同い年)は彼女の生き別れの双子で、彼女にそれを隠して同棲生活をしているうちに…という話

 

単純にそれで妹に心移りをするというだけの行為を見ると主人公がクソ野郎なのだが、それを不快に思わせない展開や心理描写が絶妙で引き込まれる。

博道(主人公)もしょうがないよな、と思わせる3人の関係が本当に絶妙。

恋人同士の価値観のすれ違いからズレが生じて、だんだん歯車がかみ合わなくなっていく…と現実ではよくありそうな話ではあるのだが

 

単純にメインヒロインが可愛い事はラブコメラノベの前提だが、主人公とヒロインが互いに惹かれる過程をちゃんと描写出来る事が作品のキモだと思っている。

その中でいもキスはそこの過程がこれまでにラノベではなかなか無いような切り口で、上手に表現しており、読んだ瞬間にやられた!と衝撃が走った作品

 

そんな物語の3巻だが遂に抵抗していた博道が妹の時雨に対する思いを自覚すると共に、二人の関係が恋人である姉の晴香に発覚するという物語の大きなターニングポイント。

そして次回が最終巻という事でどういう着地の仕方をするのか楽しみにしている。

 

また、3巻が大きなターニングポイントで次巻最終巻という構成からも分かるようにこの作品は1~4巻がそれぞれ物語の起承転結に対応しており、非常に綺麗な構成だな、とも思った。

 

一昔前?の主流のラブコメラノベは巻数ごとにヒロインが増えて様々なエピソードを重ねてヒロインレースが展開され、、、という構成だと思うが、個人的にはそういう構成、どうしても5巻を越えたあたりから展開がダレてくるように感じてしまう。

 

個人的には1人or2人のヒロインをフォーカスして5巻前後で話が綺麗にまとまる作品が好み。

本作はどう考えても全員がハッピーになる事はできないし、何なら全員不幸になる可能性もある(世間の目はともかく博道と時雨の2人の主観視点では幸せになって欲しいが…)も最後にどのように話を畳むのか、楽しみにして4巻を待ちたい