最後の言葉/Last Word

ライトノベルの感想・書評を思うがままに

君はこの「悪【ボク】」をどう裁くのだろうか?

君はこの「悪【ボク】」をどう裁くのだろうか? 読了

 

電撃文庫で12月刊行の最近ではおさまけで有名な二丸 修一の新作

二丸先生は最近他にも呪われて純愛、という新作も出していて、新しいシリーズをたくさん出しているが、ラブコメのイメージが強い中で、異色の異世界転移物語

 

本作のあらすじとしては、殺人衝動を持つ完璧超人の主人公の高城誠司が、高校入学を機に初めてライバルと言えるような親友である菅沼拓真と出会い、友情を深めていく。

その中である日、誠司は拓真に妹を殺したのか?という事を問い詰められ、それに返そうとした瞬間、2人は異世界へと転移する

 

異世界に転移した先で、それぞれ皇位争いをする第一王子と第二王子の元で成り上がり、皇位争いの側で拓真の妹の真相が明らかになっていく

 

主人公の誠司は意志の強さを魂の炎として見る事が出来る異能を持っており、その炎が消える瞬間を楽しみにしちえる快楽殺人鬼

異常者である事を自覚していて、その上で頭もめちゃくちゃ回るクレバーな面も持ち、はっきりとした美学も持つ、悪を体現したとても魅力的なキャラクター

 

悪人である側面が一章からこれでもかというくらい表現されていて、その中でも殺人鬼としての美学が一貫しているのがとても良い

 

殺人鬼としての側面はもちろん、その殺人鬼である自分を動かしやすくするように王子を操って立ち回る姿もかなり上手く、ここまでの悪人としての様を主人公として描けたラノベは無いんじゃないかと思う

 

正義漢を体現したような親友の拓真との関係性も良く、拓真自身が誠司の歪んだ精神を理解した上で、それでもなお互いが最大の理解者であると察せられる事が素晴らしい

 

クライマックスでのこの2人の対決の結末を経て、誠司が本当に抱えていた想いや、決着のきっかけとなるメインヒロインとの関係など、伏線を貼った上での最後の展開もかなり綺麗で、「悪」である主人公がどんな結末を迎えるのか、ぜひ読んで確かめて欲しい