最後の言葉/Last Word

ライトノベルの感想・書評を思うがままに

カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています

お久しぶりです。

 

年を明けて仕事が忙しくなり、精々時々Twitterで感想を呟くだけになっていたが、久しぶりにある程度時間が取れるようになったのでブログの記事も

(いや、それでもGW中に更新すべきだったのだが…)

 

本日の作品はこちら

「カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩夏枯れています」

スニーカー文庫カクヨム発の大学生ラブコメで今月6巻が発売された。

元々カクヨムで連載されていた時も読んだことがあり、その時はピンとこなかったのだが作者の御宮先生が今月同時に刊行した新作「この恋は元カノの提供でお送りします」が面白かったので手を出してみる事に。

そこで書籍版を読んでみたら一気に引き込まれてGW中に既刊を一気に読破した。

 

話としてはタイトルの通り、1年間付き合った元カノに浮気されて別れた大学生2年生のの悠太が、偶然街で出会った同様に浮気されて別れた大学の後輩である真由と出会い、意気投合して懐かれて…という話なのだが、単に後輩ヒロインといちゃらぶして傷を癒すだけの話ではなく、真由だけでなく高校からの親友の彩華、浮気されていたはずの元カノである礼奈の3人が複雑に物語に絡んでいく

 

1~3巻はこの3人のヒロインの立場、背景が描写され4~6巻でそれぞれ自分の想いを自覚したり、関係性が変化したりと物語が動いていくのだが、それぞれのヒロインが抱える過去や悩みが複雑に折り重なっていて、キャラクターがしっかりと立っていることが本作の一番の魅力だと思う。

 

個人的に一番好きなのは元カノヒロインの礼奈。

悠太と別れた原因はすれ違いにありながらも、元カノとして正妻っぽい振る舞いと余裕のある感じを表では出しつつ、裏では自分が置かれた立場が一番悪い事を自覚して焦って色々とアクションを起こす様が良い。

6巻のネタバレになるが、1年間付き合っていて肉体関係も持っていた。そんな過去から肉体関係を迫ろうとするアクションを取るところとか、情念の重さと必死さが出ていてとても好み。

そして6巻の描写的には多分負けヒロインなんだろうな、という儚さも感じる。個人的には勝ってほしいけど…

 

「浮気」の原因も読者のヘイトを買わないように作者が凄い配慮しているのを感じていて、誰が見ても悠太の方が悪い面があるように感じさせながら、悠太自身も真相がわかった時にちゃんとそれを自覚した事で、読んでいてどちらにも不快感を抱かせづらいようにしている描写もとても良いと思う。

 

エピローグでの作者の言及や、新作が同時に発売した事からおそらく物語はあと2~3巻程度で結末を迎えそう。

タイトル通りな結末に落ち着く気もするけれど、4人の恋の行く末を見届けたい