最後の言葉/Last Word

ライトノベルの感想・書評を思うがままに

友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。誰にも言えない恋をする。

※ネタバレ有

 

 

電撃文庫の新作青春ラブコメ

6/10に最新刊である2巻が発売中

 

高校進学を機に仲良しの男女5人組の友人グループの中で友情と恋愛が交差し、互いを大切に思いながらも秘密の想いと裏切りが交差する青春群像劇なラブコメ

 

以前、仲良かった友人グループの間でカップルが生まれた事をきっかけに友人間が疎遠になってしまった事から恋愛にトラウマを持ち、恋愛を遠ざけて友人グループとしての関係性を守ろうとする主人公の純也。

 

同じく過去に恋愛に対するトラウマを持つが、こちらは本当の恋愛を知ろうとして恋を何より優先して積極的に動くヒロインの夜瑠

 

表面的には内気な少女を演じていた夜瑠の本性を偶然知ってしまい、相容れない天敵のような関係の2人だったが、互いの傷に触れあう中で、純也に惹かれていき、5人組の裏で秘密のアプローチを掛けていく事になる。

 

そのような秘密の関係を隠したまま、純也に対して好意をグループ内で明言してアプローチを進める火乃香、夜瑠を一度諦めながらもまだ惹かれている中学校の時の純也を救ってくれた恩人でもある新太郎、モテるルックスを持ちながらもそもそも恋愛感情が分からない事を悩む青嵐の残り3人の想いと2人or3人で共有される様々な秘密の関係が錯綜しながら物語は進んでいく

 

1巻は純也の天敵のはずの関係であった夜瑠が本当の恋を知るために色々と危ない橋を渡っていた夜瑠が、本気で「親友」だと思っていて、純粋に夜瑠を助けようとした純也に対して、本当の恋愛感情を知って惹かれるまでが描かれている。

 

2巻ではそんな夜瑠のアプローチに対して、純也は過去のトラウマから友人グループの輪を乱す事を恐れて距離を取ろうとするが、それでも徐々に惹かれていく。その一方で残り3人の想いもそれぞれ明らかになっていき、全員が友人を大切に想いながらも、こっそりと色々すれ違いが重なり、関係性が水面下で揺れていく

 

友情と恋愛感情の狭間で揺れ動く思春期の5人が、それぞれの思惑を持ちながら動いており、メインの2人以外のサブキャラクターである3人も単なる舞台装置でなく、生きたキャラクターとしてこの複雑な関係性を構成しているのが本当に魅力的

 

2巻時点ではまだトラブルが表面化してはいないが、迫り来る修羅場に対して5人がそれぞれ、何を大切にしてアクションを起こし、最後にどのような結論を出すのかとても楽しみにしている。

 

最終的にそのままの関係性でいる事は無理なのだろうけれど、それでも5人組が散り散りにならず、5人組として最適な結論を出せると良いな、と見守りたい